ニコカテぶろぐ

感性を信じる学習塾経営者のつぶやき

文京区千石、北区西ケ原にて小学生、中学生、高校生を対象とした学習塾を運営しています。

蓄積の向こうに

フレック学習塾の教育方針の一つに「生徒に考えさせる」というものがある。

それは、未知の問題や抽象的な問題に対して、

自分で考える癖を持ってもらうためだ。

抽象的な問いかけは、社会に出たらどっと押し寄せてくる。

自分で結論を出せない人間は、ただ闇雲にネットや書籍に答えを探すだろう。

 

しかし、本当の答えは自分の中にしかない。

それは、自分が持っている知識、経験、思考の中で生まれる。

何かの理由で立ち止まった時にそれまでの蓄積が試されるのだ。

蓄積がないものは停滞するだけとなる。

社会から隔離された囚人のように。

 

知識があれば、正解に進める。

自信があれば、前に進める。

思考があれば、自分らしく進める。

 

生徒達にいろいろなことを蓄積させるのが、学習塾の使命だ。

1秒1秒が真剣勝負

最近、同年代の学習塾を経営している人達と会う機会が増えている。

異業種から始めた人もいれば、大手の塾から独立した人など背景は様々だ。

そして、多くの経営者がITを活用している。

動画を活用したり、

ゲーム性の高いタブレット教材を導入したりして、

いろいろ勉強になる。

フレック学習塾はどうやねん。ということになるが、

うちはITの活用は皆無だ。

 

別に私がITに疎いというわけでも、嫌いというわけでもないが、

優先順位としては、やはり講師の質だ。

当塾は、その場その場で質問を受けて、答えるパターンなので、

今日の学校の授業で分からなかったことや、

数ヶ月後の試験に向けて学習計画を個別に立てたりするなど、

ひとりひとり対応が違う。

そのため、あらかじめ準備することは難しい。

 

その結果、講師の事前準備はゼロだ。

言い換えると事前準備をしないと対応できない講師は、当塾には不向きとも言える。

生徒の質問を聞いて、答えるだけでなく、

その場で何がわかっていないのか、

理解するためにはどのような問題を解くべきなのか、

を瞬時に判断して、示してあげることが必要だ。

生徒ひとりひとり、学習進度や性格も違うので、これは難しい作業だ。

 

私は講師には「授業その時」を大事にして欲しいと思う。

まぁ、とても当たり前なのだが、

授業準備や報告書などはいらないから、

とにかく授業そのものに集中して欲しい。ということだ。

授業は生ライブであり、1秒1秒が真剣勝負なのだ。

 

何かを捨てて、新しきを得る。

学習塾は講師不足のようで、

大手個別塾の求人広告は年中出されている。

幸運なことに当塾は人材に恵まれており、

ブログやホームページ経由でちょくちょく応募も来る。

 

しかし今回、何事も経験ということで、

実験的に新しい先生の募集をタウンワークでしてみた。

正直、全く期待していなかったのだが、結果的に2名採用することができた。

*1

また、募集条件の工夫など今度の参考になる経験も積むことができたのも良かった。

 

同時に同塾で唯一の広告である電柱広告を3月で止めた。

これで生徒募集は完全に口コミとネットだけ。

 

事業経営者として、何かを捨てて新しいことを日々取り入れていかなくてはならない。

日々の業務をこなすだけでは、ジリ貧に陥るだけだ。

 

*1:※1名増えて、3名のめちゃ優秀は講師を採用(5/4訂正)

西ケ原教室を訪れて

西ケ原教室に久しぶりに訪れた。

西ケ原教室の運営は、社員講師である高橋先生に任せきりだったのだが、

これがまた千石とは違う良い教室になっていて驚いた。

 

机のレイアウトや張り紙を見るに、

生徒目線で教室を作っているのが一目瞭然。

マニュアルに頼るのではなく、自分の頭で考えて実行しているからこそ生徒目線になる。

生徒が増えてきて、いろいろなことが頭をよぎると思うが、

ぜひ引き続き頑張ってほしい。

 

フレックは、生徒はもちろん、講師側も最大限、気持ちよく働いてほしいと思う。

その環境を整えるのは、自分の責任であることを自覚しつつ、

西ケ原教室を後にした。

盛り上がることなく過ごすこと

先日、理系姉妹が合格報告に来てくれた。

双方とも国立大学に無事に合格したとのことで、嬉しい限りだ。

この2人は、いろいろな質問してくれる生徒だったので、とても面白かった。

 

2人の受験生活の感想を聞いてみたら

「1年通して、特に気持ちの変わりはなかった。センター試験の時もこれがセンター試験かぁという感じでした」

 

いや〜、いいね。その感覚、淡々としていて。

 

仕事でもそうなんだが、一時的に盛り上がり後退していく人を何人も見てきた。

最初は盛り上がっているのだが、要所で盛り下がってくるパターンだ。

周りを巻き込むだけ巻き込んで、踏ん張れないのは困る。

 

当塾の生徒にも試験前だけ勉強に身が入る生徒がいる。

その気持もわかるし、もちろん試験は大事だ。

でも、試験後にぱぁーと遊んで、ぱぁーと忘れるのは勿体無い。

 

試験に前も後もない。

日々、勉強をつづけるなかで定期試験があるだけだ。

自分のこれまでの勉強の成果を確認し、次につなげていく機会の一つだ。

そう考えると、定期試験前よりも定期試験後の勉強が重要といえる。

 

有名大学に合格する生徒は、上記のことを当たり前のようにしている。

そして、社会に出ても周りに振り回されることなく(振り回すことなく)、

淡々とやるべきことをして、ステップアップしていくのだ。

 

人は自分を律して、何かを得ていく。

 

姉妹の話を聞いて、そんなことを思った。

 

 

最終的に塾は不要となれ

うちの塾は、授業を一切しない。

個別に新しい単元の説明をしたうえで、各自問題を解いてもらう。

解いている様子を横から見て、ツッコミを入れたり、

疑問のある生徒からの質問を受けている。

 

体験授業でも同じように、問題を渡してひたすら解いてもらう。

面白い話をしてくれる先生がわかりやすい授業をしてくれるわけではない。

小学生には面白くないだろう。

実際、小学生の体験授業からの入塾率は中高に比べて低い。

 

小学生は、どの問題を解いたら良いか、こちらから指示するが、

中学生は自分でどの問題を解くべきか、自分で考えてもらっている。

高校生に至っては、解説を各自読んで、自分で考えるようにしてもらっている。

そして、最終的に気付くのが、

 

「えっ!塾不要じゃん。。。」

 

自分で参考書を引っ張り出し、考えられる生徒には、塾は不要だ。

むしろ、最短で思考をクリアにしてくれる授業は、生徒たちの貴重な「学ぶ」機会を奪っているのではないかと思う。

最近、小学生の生徒達が自ら学ぶ姿勢を見せてきた。

塾に来て、何も言わないでも問題集を取り出し、解き始め、質問をしてくる。

「学ぶ」姿勢が身についてきたようで嬉しい。

 

わかりやすい授業を受けた生徒が、わかりにくい社会に出ていくようにしてはならないと思っている。

 

保護者の方々から早期の学力向上を求められる中で、

この理想をどれだけ実践できるか、

それがこの仕事の醍醐味だと思っている。

前向きになるために

学習塾の存在理由の一つに

「生徒が前向きに勉強する」きっかけを与えてあげることがある。

生徒にとって、前向きになるものは違うため、

アレコレと日々、探っている。

 

コツコツ型の生徒は、毎回小テストをして努力の成果を見えるようにしてあげる。

チャレンジャータイプは「この問題は難しいよ!」と言いながら問題を渡す。

思考型の生徒は、疑問に思っていることを聞いて、様々な角度から説明をする。

 

世の中にはいろいろな学習ツールが出てきたが、

その子にとって、どのような学習が必要なのか、

判断してあげる仕組みが必要だ。

一番良いのは、その子の状況によって、学習ツールが変化していくことだろう。

 

貴重な10代が、後ろ向きな時間ばかりだったとしたら、それは悲劇だ。